昭和の性犯罪史

川上ゆう

空襲で家族を亡くしたゆう。いつまでも叔父の世話になるわけにいかないと、夷隈の農家に嫁ぐことになった。旦那は体が弱いため兵隊になれず録事として働く物静かだが優しい男だった。慣れない環境ながら毎日を必死に生きるゆう。ある日、ゆうの幼馴染で海兵となった真田が家に…

雑然とした昭和の時代に置き去りにされたまま、枯れ朽ちていく事件…。廃墟と化した屋敷、怨念のような陰湿な監禁事件…。哀しい因果によって結びついた人間たちが…、虫のように蠢いていた。久代は絶大な財産と権力を誇っていた。養子である夫の耕一は久代には逆らえない立場…

忘れ去られた昭和の性犯罪…。だが、そこには確かに人間の営みが刻み込まれている。「昭和性犯罪」というページが開かれていた…。松下美香の夫は、ある自動車メーカーの下請けとしてピストン製造の工場を経営していた。昭和四十年代も終わろうとしていた頃…、夫は心筋梗塞で…

事件が起きたのは、今から三十四年前。私が生まれる一年前の出来事だった…。レイプされ、快感がなかったと言えばウソになります…。沙紀は亡き母（麻妃）の墓参りの時、農家の老人に出会い母のことを聞かされた。沙紀は幼い頃、母を失い、何も知らされていない故郷を調べ、三…